2010年11月23日火曜日

昨日はまたミッドタウンにあるBook-Offへ本を売りに行った。
新書込みで30冊以上売って、しかも村上春樹の1Q84(ハードカバー)2冊も入っていたのに、総額3ドルってイッタイどーゆーことよ?でもまあ、「物を減らすこと」が目的だったから、いいんだけど。。

会計待ちの間に、本を物色。
欲しくなるから、なるべく1ドルコーナー以外は見ないようにしてるのに、ついアラーキーこと荒木経惟の「いい顔してる人」という本をたまたま手に取って読み込んでしまい、閉店の時間になったので結局購入。(8ドル50セントだから、結局赤字。)

Book-Offのある45丁目からだと、タイムズスクエアから家の駅まで1本で比較的早く帰れるのですが、ちょっと読みたいなというのもあり、あえて時間のかかるブライアントパークから電車に乗りました。

結局、電車の中と、寝る前とで一気に読み切ってしまいました。それほど、面白かった。

たとえば、60年代に「中年女(オンナ)」という写真集を出すに当たり、地下鉄銀座線の中でよく人の顔を盗み撮りをしていたそうなのですが、その時のコツが「乗って3駅目」。
何かというと、「乗ったばかりでちょっと周りの人を気にして1駅。それから中吊りを熟読して2駅。で、何もすることがなくなって、3駅めにはすごいいいい顔になるの。(以下略)」
これは、自分を思い返してみてもその通りで、笑ってしまいました。ニューヨークの地下鉄には中吊り広告がないので(Dr.Zizmorはあるけど...)、2駅目の部分は「変な人の観察」に置き換えられますが。

何千、何万人の顔を撮って来たから、顔を見ただけで、その人がどういう人生を送って来たか大体わかるそう。生き方は全て、顔に出る、ということ。
「いちばんの裸は顔だよ  過去も現在もすべて  顔に出る。用心しろよ!」(本・帯より)

これは私も最近とくに思っていることで、例えば、上司に媚びを売ることに専念している人は「おどおど、こそこそとしたネズミっぽい顔」だったり(例が具体的ですみません..笑)、逆に不器用だけど誠実に生きている人は、はにかんだ優しい目を持っていたり。

政治家の顔なんかも、とくに面白いもので、国会答弁をたまにYoutubeで見ていると「この人は一見、優しそうな顔つきだけど、相当嘘つきだな。」とか「ぶっきらぼうで愛想はないけど、正直で、国や国民のことを思っているな。」とか、自分なりにわかってきます。
ちなみにアラーキーは撮ったことはないそうですが、小泉Jr.こと小泉進次郎はかなりいい顔(イケメンという意味ではなく)しているとのこと、私も国会答弁を見て同じように感じていました。

この本にも出て来る大宅壮一の言葉、「男の顔は履歴書」は、もちろん女にも当てはまります。いい年を重ねて、いい顔を作って行きたいものです。


写真は、本書には関係ないけれどアラーキー撮影による漫画家の魚喃キリコ
なんてキリリとしたいい顔!


2010年11月12日金曜日

三島由紀夫レター教室


バッグデザイナーであり、大切な友人でもあるHarunaとは、よく本を貸し借りするのですが(最近お互い忙しくて会えてない...)、彼女が貸してくれた数々の本の中でも特に私の気に入り、自分用にはもちろん、友人用(結局母へ贈りましたが)にももう一冊求めた程の本が、この「三島由紀夫レター教室」です。


五人の登場人物、

氷ママ子(45才)
山トビ夫(45才)
空ミツ子(20才)
炎タケル(23才)
丸トラ一(25才)

この登場人物の間でやりとりされる書簡の中身を覗き見する面白さときたら...!

目次だけでもさらに面白い。

「古風なラブ・レター」「有名人へのファン・レター」「肉体的な愛の申し込み」「処女でないことを打ちあける手紙」「同性への愛の告白」「愛を裏切った男 への脅迫状」「出産の通知」「招待を断わる手紙」「結婚申し込みの手紙」「恋敵を中傷する手紙」「心中誘う手紙」「旅先からの手紙」「年賀状の中へ不吉な手紙」「英文の手紙を書くコツ」「真相をあばく探偵の手紙」「探偵解決編の手紙」「身の上相談の手紙」「病人へのお身舞い状」「妊娠を知らせる手紙」「妊 娠を知った男の愛の手紙」「陰謀を打ち明ける手紙」「余計なお世話をやいた手紙」「裏切られた女の激怒の手紙」「閑な人の閑な手紙」「結婚と新婚を告げる 手紙」「すべてをあきらめた女の手紙」「家庭のゴタゴタをこぼす手紙」「離婚騒動をめぐる手紙」「悪男悪女の仲なおりの手紙」「作者から読者への手紙」


嫉妬、駆け引き、裏切り、独占欲、肉欲、ひっくるめて、純愛。


恋愛って、自分がどっぷり浸かっている時は、その滑稽さを笑う余裕をなかなか持てないものですが...。

こういう小説を読むとつくづく、人間くささいっぱいの感情の起伏のおかしさを、一歩引いて楽しめたら、恋愛に限らず人生は数倍スパイスの効いた楽しいものになるものだと感じます。

悲劇になるも喜劇ととるも自由な、知的な大人の恋愛。
年を取るのも楽しみになるってもんです。

あとがきにある、「世の中の人間は、みんな自分勝手の目的へ向かって邁進しており、他人に関心を持つのはよほど例外的だ、とわかったときに、はじめてあなたの書く手紙にはいきいきとした力がそなわり、人の心をゆすぶる手紙が書けるようになるのです。」
このマナーも、色んなことに応用できそう。

場末のスナックや飲み屋で、知らない人の話を聞くのが好きな人ならきっと好きな本だと思います。

それにしても、「金閣寺」も書けて、こういうツイストの効いたユーモアたっぷりの人間模様も書ける三島由紀夫ってイッタイどんな脳を持ってたのだろう...。

2010年11月9日火曜日

本日のパープルタウン


電車内より。



それにしても...

温泉に浸かりたい。

なんならツムラの名湯でもいいから。

ビザのこと、仕事のこと等上手く運んで、1月か2月中には

日本へ一時帰国出来ますように。

いや、絶対にしなくては。

日本での1番の幸せタイムは、お風呂にゆっくり浸かっているとき。

体を温かい液体に包まれる感触はもちろん、

湯気がポワポワと立ちのぼる様子とか、

お湯の匂い、ちゃぽん・ぴちょんという音、鼻歌のエコー。

こちらでは、浴槽が浅かったり、水はけが悪かったりで、

なかなか叶わないのだ。

ほとんどのニューヨーカーはシャワーで済ませてしまう。


Purple town Purple town

素晴しい朝に hu hu hu

Purple town Purple town

翼広げて hu hu hu

入浴 愛する気持ちを呼びさます都会ね

入〜浴 紫にけむる夜明け♩


なのにねっ。


八神純子 "パープルタウン"


あ、ダジャレね...失礼いたしました。(テヘ)

気を取り直して...

妄想の中だけでも、こんな温泉に浸かりたいと思います。
法師乃湯

2010年11月7日日曜日

Visionaire's Halloween Party @MOMA PS1

8月につけた、残暑見舞いの記事から早や2ヶ月が過ぎてしまいました..。
なんというスローペースなブログでしょう。
気がつけば秋を通り越して、初冬。N.Y.もすっかり冷え込んで参りました。

色々な出来事がありましたが、中でも最近の1番大きなイベントは「ハロウィン」でした。
それも、ラッキーな事にヴィジョネア(部数限定/毎号オブジェのようなクオリティのファッション+アート雑誌)のハロウィン・パーティに滑り込む事ができたので、この貴重な体験をご紹介させて頂きます。

誘われたのはハロウィンの前日の10月30日・土曜日で、「明日までに何か仮装を考えればいいや」とノン気に構えていたのに、夕方頃に「ねえ、エミコ、仮装の準備はできてる?今夜の」と電話が入り、私の勘違いが発覚。今年のハロウィンは日曜日なので、ほとんどのパーティは金曜日か前日の土曜日に行われていたのでした。頭の中が一瞬真っ白になるも、ちょうど2年前にフリーマーケットで購入した、アンティークの黒のロングドレスがしまってあったのを思い出し、さらに都合の良い事に一緒に行く友人達も、テーマは「ゴシック」との事で、後はお化粧でなんとか間に合わせる事に。

友人宅に着くと、既にお顔真っ白、お目目の周り真っ黒、衣装は退廃的で暗黒でゴシック!にバッチリ決めた友人達が洗面所で「ゴス化」に精を出していたので、私も負けては居られない、とお白粉をペタペタ。
ハロウィン仮装って、始めるまでは面倒なんだけど、いざやり始めるとトコトンやりたくなるものですねえ。。

完ぺきにアブナイ3人組が完成した後、アパート下でさらに2人の友人とキャブに乗り込み、いざ、パーティ会場へ!
会場となったのは、MOMA PS1と言う、Long Island CityにあるMOMA系列の現代美術館。
PS1とは、Public School No.1の略、つまり元学校を改築した美術館なので、ホラー気分も5割増!

キャブ内でサンドウィッチをまわし食べし、橋を越え、会場に到着。
入場リストチェックも無事に済み、入り口へ向かうと、館内へ続く階段の一段一段にロウソクが灯されていて、この美術館の無機質な昼間の顔しか見た事のない私はゾクゾクと大興奮!

この写真のみ、NY Timesから拝借...


ちなみに、家でホラー気分を盛り上げるため、1人何遍もシツコク再生していた曲はこれ!

Bauhaus "Bela Lugosi's Dead"

うーんカッコイイ!

私達3人の仮装も、まるでこの曲のようにゴシックで不気味なものになったと思います。。
ヒヒヒ。。


さあ、いよいよ館内に入ると、廊下は赤いランプで血の色に照らされ、「キャー!ヘルプミー!」という叫び声の音声がこだましておりました。

真っ赤な廊下

フリードリンクもクランベリー×ウォッカで血の色...。

DJも顔はピエロ

小林君とマギーと巨大なドラァグクイーン

昼間の王様と暗黒王子タケル(小林君のゴスの似合う事!)

マギーのゴス似合いっぷりも、半端ない!

American Psychoのパトリック・ベイトマン??

キース・リチャーズ(偽)と今回誘ってくれたニッキー

ウルフマン

綿ホコリをまき散らしていたカップル

イケメンのボート漕ぎ

コーンヘッズ!

純白で目立っていたカップル

カメラを向けると笑顔がとても可愛かったキューピッド君

どんなパーティにもパンチの効いた華を添える、ドラァグクイーン

全身キースへリング男

マギー、小林君、可愛いブラックバニーちゃん

人気のあるテーマ、「血の花嫁」(もしくは「キャリー」)

踊るうちに夜は更けて...


その他、美しいバレリーナに扮したVisionaireのカリスマ編集長のセシリア・ディーンや、インディアンの酋長に扮した同じく創始者のスティーブン・ガンなどもダンスフロアに。ヴィジョネアのパーティだけあって、凄い人ばかりが来ていただろうことは間違いないのですが、何しろみんな仮装しているので、誰が誰だか。。後でニュース記事を見ると、コートニー・ラブや
リブ・タイラーも来ていたとの事でした。


とはいえ、そんなセレブ達よりも私の心を鷲掴みにしたのが、この男...



どん!

Dr. Zizmor!!!!!

これ....N.Y.で地下鉄に乗る人しかわからない可笑しさなのかもですが。。

元ネタは、コチラ...↓




要は、Dr.Zizmor氏という美容外科医の打っている広告なのですが、そのデザインの醜悪さといい、全体から漂う異様なまでの胡散臭さといい、ニューヨーカーなら誰もが1度は(たぶん)笑いの種にした事のある、ある意味「ニューヨークで1番有名な男、の1人」なのです!...負の意味で!

そんなZizmorと顔も髪型(後退具合)も似ている彼が、手描きの涙ぐましい看板を背負っているのを発見したときの腹筋の痛さと来たら!!
間違いなく、私の中の今年のハロウィン仮装第1位です。


お洒落なパーティに行ったのに、結局1位はZizmorって...。


なにはともあれ、大人が本気で仮装して遊ぶN.Y.のハロウィン、私は好きです。


でも楽しみ過ぎて、次の日は1日中ひどい2日酔いでした。反省。。m(_ _)m


さぁ、来年は何になろう!?



※私の仮装写真が1枚もないのは、ハニかんでいる訳ではなく、自分のカメラで撮りそびれたからです。友人から送ってもらったら、また載せま〜す☆